今年聴いた演奏会一覧
東京に引っ越してから、たくさん演奏会に行ったので一つ一つ思い出してみます。
【9月30日 ハーツウィンズ】
第一弾。東京でまずやりたかったのが「プロの吹奏楽を生で聴く」でした。
北海道では聴けないに等しかったので、まず飛びついたのがこちら。
ハーツウィンズの存在は知らなかったし、どういう経路で知ったのかも覚えていないのですが、選曲が完全に自分の好みにヒットしていたので飛びつきした。
感想:小人数だからこその澄んだアンサンブルでこれでもかと美しい音を聴かせていただきました。全席自由だから普通に真ん中座れたのも大きいかもしれない。
聴けて一番うれしかったのはホルストの<第一組曲><第二組曲>。このコンサートが素晴らしいと思った理由は、吹奏楽が今の形になるルーツを解き明かすような深い文脈を選曲をしていること。メンデルスゾーンの<管楽器のための序曲(夜想曲)>もショスタコの<ジャズ組曲>も、吹奏楽の歴史においてかなり重要な一方で全くと言って良いほど演奏されない作品なので、まさか生きているうちに聞けるとは!て感じの選曲だったなあ。
【10月3日 東京佼成ウィンドオーケストラ】
絶対聞きたいと思っていたTKWO、CDでは飽きるほど聞いたけど生っていうのは吹奏楽にあんまりお熱じゃない高校生の時に一回聞いたくらいで全然覚えていないので、当時の自分を叱ってやりたいくらいには惜しいことをしたなーと。
こちらも吹奏楽オタクにとっては激アツ選曲。TKWOが発信し世界に名をとどろかせた真島俊夫の不朽の名作<三つのジャポニスム>、まさか初演オケで聴けるとは!幸せな時間でした。
もう一つ印象的だったのが、メシアンの<われ死者の復活を待ち望む>。編成としては管楽器とパーカッションアンサンブルであるため吹奏楽団も実施できるものなのですが、メシアンという作曲家がそもそも「吹奏楽という界隈」で認知されていないこともあって管弦楽の団体でしか演奏されていないようです。そんなこともあって、これが聴けると知った時割とテンションが上がりました。こういった「攻めた」選曲に挑めるところは、TKWOの音楽的な懐の深さなんでしょうね。やはりこのオケ、推せる。
これは完全に演奏会と関係ない話なのですが、メシアンを聴いていると天界から降り注ぐ強い光みたいなのがイメージに浮かんできます。イメージとしては「宝石の国」の月人です。
【10月10日 ナ・カージョ】
某オケにたびたび客演してくださっていた中城マエストロが擁する(?)弦楽アンサンブルの解散公演でした。雨の日ながらホールがみっちりになるくらいの客足だった記憶。
個人的にすごく好きだったのはバッハの<ヴァイオリン協奏曲2番>でした。普段演奏会を選ぶとき、パーカッションを聴きたいという気持ちで演奏会を選んでしまうので、こういった曲は中々生で聴かないなーと気づかされました。バッハ自体は好きなんですが…
アマチュア団体ということではあるのですが、たぶんよくある「プロ・アマ混成」みたいなやつだと思っていて、演奏の完成度は高かったです。いいもの聴かせていただきました。会場の雰囲気も良くて癒された。
【10月23日 NHK交響楽団】
初N響。コロナ禍を意識したと思われる小編成中心の選曲でした。
この演奏会で一番よかったのは、武満徹の管楽作品<シグナルズ・フロム・ヘブン>と<ガーデン・レイン>でした。武満徹は世界的に評価されている作曲家でありながら、国内での演奏回数はあまりないというところにあり、日本人たるもの聴かねば!みたいな使命感が謎にあったので。それを満たせてよかったです(これ演奏の感想じゃないですね)。
が…演奏会カレンダーを見る限り、おそらくはコロナ禍でなければ演奏されなかったんでしょうね。怪我の功名?フルオーケストラの団体がここまで絞りきった編成の曲をやるというのは、オーケストラ作品をやることを目的化していないってことを示すものでもあり、興味深いです。もちろん、ピアノ・ソロをやるなんてことはないでしょうが。
いやでもコロナじゃなかったらやってたであろうシベリウス<交響曲第5番>も純粋に好きな曲なので聴きたかったな…
【11月7日 東京佼成ウィンドオーケストラ】
60周年記念ということで、TKWOにとって大事と思われるような楽曲をまとめたものでした。
ここで絶対に言及しなければいけないのはグレインジャー<リンカンシャーの花束>。これを聴けるなんて…!生きててよかったと思わざるを得ません。私を吹奏楽沼に落とした楽曲と言っても過言ではないです(自分語り)。ありがとうございます(オタク特有の謎の感謝)。
そして興味深かったのは芳賀傑の<水面に映るグラデーションの空>これは初めて聴いた曲なのですが、それも納得の2018年作曲。吹奏楽という編成の限界とも思えるようなアンサンブルの妙技、そこから受ける心を締め付けるような響き。また聴いてみたいです。
あ、ホルストの<第一組曲>、これはもうコメントするまでもないものです。最高。
【11月21日 NHK交響楽団】
この演奏会は 満足度高かったです。(いつも低いというわけではないのですが)
指揮者の原田さんはアメリカ物を振っているイメージが強いのですが、今回もその例に漏れず。
コリリアーノもバーバーも興味こそあれしっかり聴いたことがなかったのですが、これが良くて。コリリアーノの胸を射つ美しさ、バーバー最終楽章のエキサイティングさ。
ドヴォ9はプロの生音で聴いたことがなかったのでその満足感はもちろん、私が触れたことのなかった解釈と思える部分も楽しめました。楽章間のアタッカとか(アタッカがないのは2-3楽章間だけという)。
ドヴォ9も、アメリカという土地の影響を強く受けているのでもちろんアメリカ作品、という解釈。ここで原田Moが演奏後の解説してたりします。
【11月28日 読売交響楽団】
この日はブル7聴きに行きました。
いや~これを自分がブルックナー叩く前に聴いていれば!…
ティンパニ、本当に良い音でした。なんであんなに「硬くない、カタチの大きい、芯のある音」を出せるんだろう。
一生悩むな~
【12月6日 NHK交響楽団】
お、伊福部昭か~と興味を持ち前日にチケ購入。
これは本当に行ってよかった。ショスタコーヴィチ<交響曲第一番>は初めて聴きましたが、個人的に大好きな曲でした。
そして伊福部は<リトミカ・オスティナータ>が本当に素晴らしかった!ミニマル・ミュージックを彷彿とさせる執拗なまでのリズムの繰り返しと厳格さ、プログラムにかいてあった「音の大伽藍」が完全にそれ!
うわぁ~と声が出てしまいました。
【12月19日 読売交響楽団】
第九です。なぜかあんまり覚えていないです…
【12月26日 東京都交響楽団】
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3504&my=2020&mm=12
まさにこの記事書いている日に聴きました。
チャイコフスキーの絢爛豪華なオーケストレーション!都響のハイレベルな技術も相まって素晴らしい聴き応えでした。
また<くるみ割り人形>全曲ということで、恥ずかしながら初めてあらすじをきっちり追いながら聴きました。物語の世界に入り込みながら聴けるっていいですね…
いつか<白鳥湖><眠れる森の美女>も全曲で聴きたいな。
■この記事書いてて感じたこと
演奏会の純粋な感想書くの難しいなって思いました。
耳で幸せと感じたもの、言語化できるほど構造化された情報に落とし込めないですね。
■この一年いろいろ演奏会聴いて気づいたこと
聴き手としての気持ちがよくわかってきた。オケの練習しているときよりずっと音楽を聴くようになった…この期間、目一杯楽しみたい。